第60回  大学美術教育学会  山形大会

Oral presentation

口頭発表Oral presentation

演題

「受胎告知」を読む

―オンラインでの鑑賞学習(自由解釈)の試み―

氏名

岡田匡史

所属

信州大学
kg7

COMMENT

  • 岡田匡史(信州大学) より:

    福島大学
    新井浩先生
     後期授業始動前のご繁忙な中,「「受胎告知」を読む―オンラインでの鑑賞学習(自由解釈)の試み」を動画視聴賜り,凄く嬉しく,研究遂行の励みとなりました。受講者の解釈傾向の1つとして,造形的解釈が意外と少なかった点に,新井先生もご注目下さり,また,共感もなさって下さり,更にその上で新井先生ご自身の彫刻指導のご実践(数多啓発されました!)を基盤とされましての,密度濃き有意義なご助言と,読解的鑑賞のこれからの方向軸と関ります価値高きご示唆を賜り,感謝の気持ちが込み上げて参りました。当方勉強不足で,「高村光太郎の彫刻十か条」をこの年齢迄知らずにおりました。三重県立美術館の毛利伊知郎氏の日本近代彫刻史を概観・論評するHP(https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/55765038836.htm)を見付け,熟読致しました。彫刻十か条から,彫刻の本質的柱となる重要な語句(概念)として,「立体感,構造,姿勢,動勢,肉合(ししあい),まるごと等」が挙げられていることに触れ,高村光太郎の彫刻観の神髄に接する内に,各語句に含まれる重層的意味が,感動を覚えつつ,読む度に少しずつ見えてくる感じがし,模索途上の絵画鑑賞における造形的読解に高村の考え方を接合してみたくなりました。研鑽を後押しして戴けるコメントを,この度,新井先生よりご頂戴することができ,本当に有り難うございました。西洋絵画における身体動作を読み解く際,彫刻的観点が非常に有益で重要なのだとの認識も授かりました。今後共,ご助言・ご教示賜れますよう,どうぞ宜敷くお願い致します。

  • 新井浩 福島大学 より:

    岡田匡史先生 自由解釈とチャットによる応答の中で鑑賞能力が高まっていく様子をたいへん興味深く拝聴しました。
    「造形的解釈が少ない」という点は、私もオンデマンドによる遠隔授業の初期に感られて共感しました。
    私の専門は彫刻ですので、学生間のチャットによる鑑賞と資料提示による造形的解釈を交互に4回ずつ試みました。
    最後は写実的彫像から非具象的彫像まで7点と、高村光太郎の彫刻十か条のうち7条を提示して、学生に選択的に重ね合わさせることでより深い読解を導こうとしました。
    先生の発表ではなぜ造形的解釈が少ないのか、どうしたらよいのかが丁寧に考察されて、私もぜひ授業内に取り入れてみたいと感じました。
    「自由解釈の爆発的転回」のわくわく感を多くの学生が体験し、造形世界の奥深さを知ってもらいたいと思いました。
    たいへん有難うございました。

  • 岡田匡史(信州大学) より:

    上越教育大学
    松尾大介先生
     お忙しき時,「「受胎告知」を読む―オンラインでの鑑賞学習(自由解釈)の試み」を動画視聴戴き,深く感謝致します。更には,貴重なご質問を賜りましたことで,今回の鑑賞授業実践の省察へと導いて戴く契機を与えられ,大変有り難く存じます。「受胎告知」選定上,特に重視した点を整理してみました。下記をご参照戴けますと嬉しく幸甚です。
    (1)視覚的衝撃性と魅力を有し,自由解釈の触発・拡張を促す可能性の高さを具備すると判断できる作品であること。
    (2)受講者が鑑賞作品を仮令知っていたとしても,既有知識が邪魔になるのでなく,寧ろそこを基盤に,想像が湧き起こり,自由解釈を多方向に構築できるような多義的解釈を導く物語性を備える作品であること。
    (3)絵画鑑賞の本道は当然観ることだと思いますが,言語認識も絡む作品解釈に学習的意義を見出したいと欲する立場から,「絵を読む」ことを重んじる読解的鑑賞を発表者は第一に念頭に置いており,そのような目的に適う絵として優れていると評価できる作品であること。
    (4)美術を通した西洋文化の多角的理解を,鑑賞教育における文化学習の意義と位置付ける観点から,絵は何処かで見たことがあっても,文化的視座からの主題解釈に主体的に働き掛ける機会は僅少と思える,キリスト教文化圏特有の画像として,過去諸経緯に則り,「受胎告知」に行き着きました。これ迄にも複数の西洋絵画を取り上げてきており,ここ5年間では,レンブラント「夜警(1642年)」アムステルダム国立美術館蔵,ベラスケス「アラクネの寓話(織女達)(1657年頃)」プラド美術館蔵,ヴェロネーゼ「カナの婚宴(1562-63年)」ルーヴル美術館蔵,そして,今回の聖告図2点となります(R2年度前期開講のでは,単独鑑賞として,フラ・アンジェリコ「受胎告知[1440年代前半]」を取り上げました)。
    (5)新型コロナ禍の関係で,授業がオンライン化となって以降,R2年度後期+R3年度前期では,比較鑑賞も試みようと考え,その際,同一主題を扱いながら,画面構成が異質な2点を選ぶことが容易な表現範疇であることも選定基準に加えました。この点と連動し,画家側の個人的解釈(もしくは当時の注文者側要求)や時代的諸要請に拠って,主題を造形化する方略や絵に表す方途や様式特性が違ってくるのだなとの思索を,受講者の内に起動できそうな作品であることも重視致しました。
     以上5点を主要選定基準に据え,「受胎告知」の絵2点を鑑賞対象に選びました。このようなご回答でよろしいでしょうか。研鑽の機会をご提供賜り,松尾先生に重ねて厚くお礼申し上げます。

  • 上越教育大 松尾大介 より:

    岡田先生のオンラインによる対話型鑑賞の授業で、学生達によって「受胎告知」の物語が豊かに紡がれていく様子に可能性を感じました。また、岡田先生は、学生達の造形的解釈を活性化させる手立ての必要性について指摘されていた点にも共感いたしました。私は「自由解釈の爆発的展開」を活かしつつ制作体験の往還させる手立てが、オンラインによる対話型鑑賞を展開していく上で重要な視点になっていくと思いました。

    先生は、オンラインの鑑賞授業で鑑賞する対象とする絵画の選定が大切であることを指摘されていましたが、今回「受胎告知」を選定するにあたって重視した点をご教示くださると幸いです。

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